パワコン用の電気の契約は定額電灯?従量電灯?

パワコンは、発電していない時は電力会社からの電気を消費しますので、その電気の使用契約が必要ですが、ほとんどの場合、「定額電灯」の契約をしていると聞きました。
また、ある時は、「定額電灯しかできない」と言われたこともあります。

その理由は?
以前からこの点がよく分からず悶々としていたのですが、今回いろいろ調べて分かったことを、まとめておこうと思います。

ちなみに、今回は東京電力の某支社に問い合わせました。
他の電力会社は状況が違う可能性があります。また、東電内でも支社によって判断が異なる場合が絶対ないとは言い切れないので、実際に契約や工事を行う時は、管轄の担当部署に確認をお願いします。

そもそも、定額電灯と従量電灯で電気代はどうなるか、簡単に計算してみます。

まず条件として、
パワコンの消費電力(待機電力)を1台10Wで、計9台90Wとします。
パワコン以外の機器として、遠隔監視装置が1台で消費電力を30Wとします。
太陽光発電していない時間を1日15時間とすると、
1日当たりの消費電力量=(90+30)×15時間=1800Wh。
1カ月(31日)分の消費電力量=1800×31=55.8kWh。
となります。
とりあえず、1カ月60kWhといったところでしょうか。

東京電力の電気供給約款 から、電気代を計算すると、
(再エネ賦課金と燃料調整費は割愛します)

定額電灯の場合
54.00円(需要家料金)+234.82円(1機器分)×10台=2402.2円
従量電灯Aの場合
231.55円(8kWh分)+19.52円×(60-8)kWh=1246.59円
従量電灯B(10A)の場合
280.80円(基本料金)+19.52円×60kWh=1452.00円

明らかに従量電灯の方が安くなります。
20年分にすると、
定額電灯の場合=2402.2×12×20=57.65万円
従量電灯Aの場合=1246.59×12×20=29.92万円
従量電灯B(10A)の場合=1452.00×12×20=34.85万円
もちろん、今後電気代が変わったり、再エネ賦課金や燃料調整費もありますので、この通りにはなりませんが、それでも結構違うと思います。

では、なぜ、ほとんどが「定額電灯」の契約なのでしょうか。
実は、まだ明確な理由は得られていないのですが、設備との関係がありそうです。
(どなたか理由をご存じの方、コメントいただければ幸いです)

従来の電力量メーター(スマートメーターではない)で、定額電灯の場合は、このようになります。
従来メーター定額
定額電灯なので、買電用のメーターは必要ありません。
おそらくこの買電メーターの設置コストや、設置スペースの確保の点から、「定額電灯」にしてきたのではないでしょうか?
それなら、それなりに一理あるとは思います。

従来の電力量メーターで、従量電灯の場合は、このようになります。
従来メーター負荷固定
使用した電力量を計測するための買電用のメーターが必要になります。
ここで重要なのは、負荷の機器は、契約時に決めた機器に固定する必要があるということです。

従量電灯で、負荷を固定しない(不特定の負荷を使えるようにする)場合は、以下のようにブレーカーが必要になります。
従来メーター負荷不特定
この場合、ブレーカーの容量は、売電電力と買電電力の最大容量に合わせる必要がありますので、売電電力が50kW(250A)で、10Aの従量電灯契約などはできないことになります。

以上のように、買電用メーターやブレーカーの関係から、特に野立てのような太陽光では「定額電灯」が採用されてきたように思われます。

ところが、スマートメーターが導入されるようになり、状況が変わってきました。

負荷を契約時に決めた機器に固定できる場合は、このようになります。
スマートメーター負荷固定
スマートメーターは、1台で双方向の電力量を計測することができるので、従来のようにメーターを追加しなくても、従量電灯契約することができます。

次に、負荷を固定できない(不特定の負荷を使用する)場合は、こうなります。
スマートメーター負荷不特定
スマートメーターに搭載されているブレーカー(電流制限)機能を使用します。
このブレーカー機能は、順潮流と逆潮流を個別に設定することができるので、従来のように、外部にブレーカーを設置する必要なく、負荷不特定の従量電灯契約ができることになります。
スマートメーターで契約アンペア容量を設定する場合の逆潮流の取扱いについて

ところが、1つ落とし穴がありました。
このブレーカー機能は、120A以下のスマートメーターにしか搭載されていません。200Vの場合24kWまでです。
120Aを超える場合は、CT付きのスマートメーターを使用することになるのですが、それにはブレーカー機能が搭載されていないのです。
スマートメーターになっても、50kWの太陽光発電では、負荷が不特定の従量電灯契約はできないことになります。

私の場合、遠隔監視装置の消費電力など、まだしばらく決められないのと、今後もいろいろな作業で電気を使えるように、負荷を固定しない従量電灯契約をしたいのですが、現時点では、それが可能かどうか分からない状況です。
もう少し、東京電力と協議する必要がありそうです。