スマホのダメになったバッテリーを無理やり充電する
昔使っていた携帯などで、バッテリーを入れたまま何年も放置していると、バッテリーが過放電して、ACアダプタを接続しても全く起動できなくなる場合があります。
以前、中古屋で購入してそのまま放置していたAndroid2.3のスマホ(NECのIS11N)が、まさにその状態になってしまいました。
ACアダプタを接続して、電源ボタンを押しても、全く動作しません。
バッテリーを見ると、少し膨らんでいます。
バッテリーの電圧を測定すると、0Vです。
ACアダプタを接続しておけば充電できると思ったのですが、数時間経っても、全く充電されません。
どうやらこの機種は、バッテリーが正常でないと全く使えないようです。
このバッテリー、auのオンラインショップで税込1728円で販売されているので、素直に購入すればいいのですが、、、
いまさらAndroid2.3のスマホを、バッテリーを買ってまで使うかどうか、微妙な気がします。
そこで、ちょっと実験も兼ねて、このバッテリーを無理やり充電してみることにしました。
(注意)
バッテリーは、使い方によっては発熱、発火、爆発などの危険がありますので、十分注意が必要です。
ここに書いてある内容は、完全に自己責任の話になります。
自分で責任を負えない場合や、ここに書いてある内容が完全に理解できない場合は、絶対に真似しないでください。
電圧が0Vになったバッテリーを、以下の回路で充電します。
電源は普通の直流電源(電圧が変えられる安定化電源)を使用して、逆流防止のダイオードと電流制限の抵抗を通して、バッテリーに接続します。
バッテリーのスペックが、3.7V、1.3Ahなので、とりあえず、充電電流を0.1Aにすると、
5Ωの抵抗にかかる電圧は、0.1A×5Ω=0.5V
ダイオードの電圧ドロップを0.7Vとすると、
3.7+0.5+0.7=4.9Vなので、直流電源の電圧は4~5V位になります。
実際の接続は、以下のようにしました。
まず、バッテリーの端子は、このようになっています。
ここは、抵抗やコンデンサのリード線の切れ端を、
こんな感じに曲げて、
端子にセロテープで取り付けました。
そして、抵抗などを接続していきます。
接続が終わったら、直流電源の電圧を4V位に設定して、電源を投入します。
充電電流は、抵抗の両端の電圧で確認します。
電源を投入して数分後、抵抗の電圧が0.757Vだったので、その時の充電電流は、0.757÷5=0.15Aです。
まだバッテリーの電圧が低いので、少し多めになっていますが、とりあえずこのまま充電を続けていくと、徐々に電流が減っていきます。
電流が0.1Aより少なくなったら、少し電圧を上げて、0.1A位になるようにしました。
時々バッテリーの電圧も確認しておきます。
今回はスマホが起動すればいいのと、あまり長時間やると危険かもしれないので、とりあえず3時間位でやめました。
約3時間充電した後、バッテリーの電圧を見ると、
見事に電圧が復活しています。
このバッテリーをスマホに入れて、スマホの電源を入れると、
バッチリ起動しました。
ちなみに、今回、電圧は見事に回復しましたが、過放電して膨張したバッテリーなので、おそらく蓄電容量は減っていると思われます。
また、とりあえずスマホが起動できるようになりましたが、このバッテリーをこのまま使い続けるのはやはり危険な気がします。
ちょっと検索してみました。
電力中央研究所 リチウムイオン電池の劣化メカニズムの解明
日本電子株式会社 MS Tips No.159 リチウムイオン二次電池における過放電条件下の発生ガス分析
これらの資料によると、リチウムイオン二次電池は、通常時、過充電時、過放電時、それぞれで多種多様なガスが発生するらしいです。(バッテリーパックの内部の話です)
おそらく普通に充放電する時は、その量が非常に少ないので、バッテリーパックの膨張は無視できる程度だと思うのですが、過充電や過放電になると、ガスの発生量が増えるのだと思います。
過充電は充電回路が正常なら起こらないはずですが、過放電は普通に起こる事だと思います。
昔使っていた携帯をバッテリーが入ったまま何年も放置するような事は、どこでもありそうです。
上の資料によると、過放電で発生する多種多様なガスのうち、一番多いのはDEC(ジエチルカーボネート)だそうです。
リチウムイオン二次電池の電解液に使われている成分が気化するようです。
ガスの量がどんどん増えていくと、バッテリーパックが膨張して、最後はパックの安全弁が開いて外部に放出されるのだと思います。
ガスの中に有害なものが全くなければ問題ないかもしれませんが、どうなのでしょう?
いずれにしても、膨張したバッテリーを放置したり、使い続けたりするのは、やめたほうがよさそうです。