日射量の長期トレンドは今後どうなる?(3)

前回までのブログ
日射量の長期トレンドは今後どうなる?(1)
日射量の長期トレンドは今後どうなる?(2)
の続きです。

日本の日射量が長期的に増加傾向なのは、大気中の浮遊粒子状物質(SPM)が年々減少しているのが原因だとすると、この増加傾向がいつまで続くのか、ある程度予測できるかもしれません。

環境展望台のサイトの、「日本の大気環境」 のページで、過去の大気中のSPMの経年変化を見ることができます。

1994年から2014年までの東京、福岡、北海道のSPMのデータを取得して、これまでの経年変化から、今後の変化を予測すると、以下のようなグラフになりました。
(一般局と自排局の値を平均してあります)

大気中の浮遊粒子状物質(SPM)濃度の経年変化予測
SPM推移予測1994_2034

これは、過去20年のSPM濃度の変化の傾向が今後も続くと仮定した場合の予測です。

北海道はすでに10年位前からほとんど変化していませんので、これをSPM濃度のボトムラインにしました。
そうすると、東京と福岡は、あと10年くらい(2025年前後頃まで)は、SPM濃度の低下が続きそうです。

ただし、SPM濃度の低下速度は今までより遅くなるので、日射量の増加量は今までほどではないかもしれません。
今まではSPMの減少によって日射量が着実に増加してきましたが、今後は、SPM減少の影響は徐々に小さくなっていくことが予想されます。

SPMの影響が小さくなると、今度は雲の影響が大きくなってくるかもしれません。

以下は、1973年以降の日射量と雲量の推移を並べたものです。
(それぞれ年間平均値です)

【東京の日射量と雲量の推移】
日射量と雲量の推移(東京)

【函館の日射量と雲量の推移】
日射量と雲量の推移(函館)

【福岡の日射量と雲量の推移】
日射量と雲量の推移(福岡)

毎年の雲量の変動に応じて、日射量も上下動していますが、この程度の雲量の変動なら、一時的なブレと見ていいと思います。
一時的に雲量が増えて日射量が減っても、その後、雲量が減ると、以前以上に日射量が増加している感じです。

東京や福岡は、今後も雲量の変動が今までと同程度であれば、SPMの減少によって、あと10年位は日射量の増加が続いて、その後の日射量は、多少の上下動を含んだ横ばいになるのではと思います。

北海道はこれ以上の増加はあまり期待できないかもしれません。
直近、函館の日射量が増加しているのは、雲量の減少によるものでしょうか。

心配なのは、今後、何らかの異変が起こることです。

1つは、雲量がどんどん増えていくような現象が起こることです。
地球温暖化による異常気象で、晴れの日が全くこないとか、、、
そうなると、農作物も大変ですが。
ちょっと気がかりなのは、日射量が増えることで、温暖化を促進してしまうことです。

もう1つは、何らかの原因で、SPMが減少から増加に転じてしまうことです。
おそらく、EVの普及や発電所の改善などが進むので、人為的な要因でSPMが増加する可能性は低いと思います。(希望も込めて)
もしあるとしたら、火山の噴火とか、巨大隕石とか、保険も使えないどうしようもない原因のような気がします。

まあ、この地球上でとんでもない事が起きなければ、まだまだ太陽光発電は上手くいきそうですが、、、

ただ、今回、日射量に関していろいろ調べていたら、またちょっと気になる事を見つけてしまいました。

なかなか心配の種は尽きません・・