日本国内の大規模蓄電池

再エネ(太陽光、風力)の導入拡大に大変有用と言われている蓄電池ですが、その中でも規模の大きい蓄電池(数千~数万kWh以上のいわゆる「大型蓄電池」や「大規模蓄電池」)が、日本国内でも少しずつ増えてきています。

九州電力 豊前蓄電池変電所

豊前蓄電池変電所全景
(引用元:豊前蓄電池変電所の概要

プレスリリース
豊前蓄電池変電所の運用開始について

運用開始:2016年3月
設置面積:約14000平方メートル
電池種類:NAS電池(日本ガイシ製)
蓄電容量:30万kWh(300MWh)
定格出力:5万kW(50MW)
システム効率:70%以上

東北電力 南相馬変電所大型蓄電池システム

南相馬変電所大容量蓄電池
(引用元:南相馬変電所大容量蓄電システムの概要

プレスリリース
南相馬変電所の大容量蓄電池システムの営業運転開始について

運転開始:2016年2月
設置面積:約8500平方メートル
電池種類:リチウムイオン電池(東芝製)
蓄電容量:4万kWh(40MWh)
定格出力:4万kW(40MW)
システム効率:80%以上

東北電力 西仙台変電所大型蓄電システム
西仙台変電所大型蓄電池

プレスリリース
西仙台変電所の大型蓄電池システムの営業運転開始について

運転開始:2015年2月
設置面積:約6000平方メートル
電池種類:リチウムイオン電池(東芝製)
蓄電容量:2万kWh(20MWh)
定格出力:2万kW(20MW)
システム効率:80%以上

北海道電力 南早来変電所大型蓄電池
南早来変電所大型蓄電池

紹介ページ
南早来変電所の大型蓄電池

運転開始:2015年12月
設置面積:約5000平方メートル(2階建)
電池種類:レドックスフロー電池(住友電気工業製)
蓄電容量:6万kWh(60MWh)
定格出力:1.5万kW(15MW)
システム効率:70%以上

以上の4つは国などから補助を受けた実証事業として設置・運用されているものですが、その成果報告が以下で公開されています。

「大型蓄電システム実証事業に係る成果報告会」の開催について(報告)

大型蓄電池の技術的な内容が書かれていて、大変参考になります。

九州電力の資料には、蓄電システムと揚水発電の比較が出ています。

九州電力NAS蓄電システム揚水発電比較
(引用元:豊前蓄電池変電所における大型蓄電システムによる需給バランス改善実証の成果について

やはり、蓄電池システムの課題はコストと耐用年数のようですが、世界的に蓄電池が普及しつつある現状を考えると、コストの問題は徐々に軽減されていくと思います。
中には、テスラが設置した南オーストラリア州の大規模蓄電池 のように、kWh単価を計算すると3万円程度になるものもあります。
耐用年数の問題も、メンテナンスを含めた総合的なコストの低減によって、徐々に解消できるのではないでしょうか。

レドックスフロー電池は、電解液が半永久的に再利用できると言われていて、耐用年数の長期化が期待できます。
北の大地に稼働した「大型レドックスフロー電池」の成果

各電力会社は原発の安全対策に数千億円の費用を投入しているようですが、それだけのコストをかけても、無限大のリスクもゴミ問題も解消できません。
そろそろ本気で蓄電池を普及させて、日本の電力を「再エネ+蓄電池」で賄えるように持っていけないものでしょうか。