消費税10%の軽減税率制度には、免税事業者の益税対策が盛り込まれている
2019年10月からの消費税10%は最終的に決定したのでしょうか?
「増税の方針を表明」とか、「増税の方向を固めた」とか、どうもはっきりしませんが、そんな事はお構いなしに、国税庁は着々と増税に向けた既成事実作りをしているようです。
少し前ですが、税務署からこんな冊子が送られてきました。
国税庁のホームページにもあります。
軽減税率制度とは(リーフレット等)
よくわかる消費税軽減税率制度(平成30年7月)(パンフレット)
消費税の増税は過去に何度か行われてきましたが、今回の10%への増税では「軽減税率」が導入されるところが、従来の増税とは大きく異なる点です。
そして、この「軽減税率」が消費税を非常に分かりにくく、面倒なものにしていると思います。
原則は、飲食料品と新聞が軽減税率の対象で消費税8%、それ以外は消費税10%ですが、例外がいろいろあるのに加えて、税率が2種類あるので、帳簿や請求書類もそれなりの対応が必要になります。
課税事業者で仕入税額控除を受ける場合(消費税の還付を受ける場合も含む)は、帳簿で2種類の税率を管理する必要があるのと、請求書類にも税率の記載が必要になります。
食品の商売をしている事業者は軽減税率を避けて通るわけにはいきませんが、それ以外の事業者は、会計処理の手間やミスを減らすため、極力、軽減税率の対象品は扱わないようにした方がよさそうです。
とは言え、お茶やコーヒーなど、軽減税率のものを完全になくすのは難しいかもしれませんが。
平成35年10月からは、「インボイス制度」というものが導入されます。
実は、財務省が一番やりたいのはこのインボイス制度かもしれません。
インボイス制度が導入されると、課税事業者が仕入税額控除を受けるためには、「適格請求書」という請求書が必要になります。
適格請求書は、内容的には普通の請求書や領収書のようなものでいいようですが、重要なのは、適格請求書を発行できるのが「適格請求書発行事業者」に限られているということです。
その適格請求書発行事業者になるためには、税務署に申請して登録されることが必要で、しかも課税事業者でなければ登録されません。
一部の例外を除いて、取引の相手方から適格請求書を求められたら、それを断ることはできません。
課税事業者に商品やサービスなどを納品する場合は、基本的には適格請求書発行事業者にならざるを得ないと思います。
つまり、売上の金額に関わらず、課税事業者になる必要があるということです。
インボイス制度の導入によって、かなりの免税事業者が課税事業者にならざるを得なくなる可能性があります。
免税事業者は消費税の申告も納付も免除されていますが、課税事業者になるとそうはいきません。
課税事業者も免税事業者も、このインボイス制度には要注意だと思います。
軽減税率制度には、免税事業者の益税対策が盛り込まれているということになります。
実は、これが軽減税率導入の裏の目的かもしれません。