消費税の軽減税率制度の導入によって、太陽光発電事業にもいろいろ影響がありそう
前回のブログ
消費税10%の軽減税率制度には、免税事業者の益税対策が盛り込まれている
の続編です。
消費税が10%になると導入される軽減税率制度は、日本の労働生産性を多少悪化させるのではないでしょうか。
タダでさえ面倒な会計・税務処理が軽減税率制度でさらにややこしくなりそうですが、特に影響が大きいと思われるのが、平成35年10月から導入が予定されている「インボイス制度」です。
インボイス制度が導入されると、前回のブログ でも書いたように、課税事業者に商品やサービスを納品する事業者は、基本的に課税事業者になる必要があると思われます。
太陽光発電を行う事業者の場合は、低圧の発電所が2~3か所だけであれば、一時的に課税事業者になったとしても、基本は免税事業者で、消費税は免税だという前提で事業計画を立てている場合もあると思います。
土地付き太陽光の分譲物件でも、免税を前提にして、全て税込価格で収入や利回りを計算している例をよく見かけます。
そのような免税前提で事業計画を立てている場合は、事業計画の再検討が必要になる可能性があります。
例えば、
初期費2000万円(税別)で、年間収入200万円(税別)で、諸経費を考えない場合、
免税を前提にすると、
初期費は税込2200万円、年間収入は税込220万円なので、
20年間の利益は、220万円×20年-2200万円=2200万円
ですが、
課税事業者になって消費税を抜くと、
20年間の利益は、200万円×20年-2000万円=2000万円
です。
単純な比較ですが、利益が200万円も違います。
そもそも、FITの買取価格がかなり低下している現状なので、免税で何とか事業として成り立つ物件もあると思われますが、そのような物件では、課税事業者になると厳しい状況に陥る可能性があります。
ところで、軽減税率制度でインボイス制度が導入された場合でも、「適格請求書」を発行する必要がなければ、課税事業者になる必要はありません。
「適格請求書」は、課税事業者が仕入税額控除を適用する場合に必要なので、買い手側が免税事業者なら、要求してこない可能性が高いです。
でも太陽光発電の売電の場合は、電気を購入する電力会社が免税事業者ということはまずないと思いますので、「適格請求書」を要求してくるはずです。
ただ、そうなると、具体的にどうやり取りするのでしょう?
今は特に請求書のやり取りはなく、毎月自動的に売電した代金が銀行の口座に振り込まれてきます。
インボイス制度が導入されたら、発電事業者が毎月、電力会社に請求書を送ることになるのでしょうか。
でも正確な金額は電力会社に聞かないと分からないので、結構面倒かもしれません。
発電事業者も電力会社も、相当事務負担が増えそうです。
請求を自動化するシステムでも作らないと、やってられない気がします。
この辺の負担の増加は、もともと課税事業者であっても、いろいろありそうです。
また、免税事業者が課税事業者になると、売上や利益への影響以外にも、会計処理や税務の負担が増えることになります。
税理士に依頼するにせよ、自分でやるにせよ、生産性を下げる要因にはなりそうです。
軽減税率制度とインボイス制度、かなりいろいろ影響がありそうです。