過積載太陽光のピークカットされる電力を蓄電する場合の採算性

太陽光発電でソーラーパネルを過積載した場合に、ピークカットされる電力を蓄電池に蓄電して、夕方や夜間に売電するというアイデアは以前からありましたが、資源エネ庁の委員会でも検討されているようです。

再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会 第9回
資料2 既認定案件による国民負担の抑制に向けた対応

ピークカット電力充放電イメージ
 
上の図では、ピークカット部分の電力量より夕方以降放電する電力量の方が明らかに多くなっていますが、そんな事はあり得ません。
このような誤解を与える表現が権威ある政府内の委員会で用いられているのは、いかがなものでしょうか。

まあ、それはそれとして、

過積載太陽光のピークカットされる電力を蓄電して夕方以降放電する場合の採算性を簡単に検討してみました。

NEDOの日射量データベースMETPV11のデータで、千葉県の比較的日射量が良好な場所の5月の天気の良い日のデータを使用して、1日の最大ピークカット量を求めると、以下のようになります。

最大ピークカット量150
最大ピークカット量200
最大ピークカット量300

それぞれ、日射量が1kW/㎡の時にパネルが定格電力を発電して、発電電力が49.5kW以上の時にピークカットされる前提で計算してあります。
また、これらは5月の天気が最高に良い日で、ピークカット量が最大になる日と考えます。

そうすると、ピークカットされる電力を全て蓄電するのに必要な蓄電池の容量は、

150%過積載の時の蓄電池容量=104kWh
200%過積載の時の蓄電池容量=259kWh
300%過積載の時の蓄電池容量=594kWh

ということになります。

一方、雨や曇りの日はピークカットしなかったり、冬はピークカットしても短時間だったりするので、1年間のトータルで見ると、ピークカット量は結構少なくなります。

年間ピークカット率例

これはNEDOのMETPV11のデータを使用して、千葉県某所の特定の条件での年間のピークカット率を計算したものです。

150%過積載(75kW)の時は、約3%
200%過積載(100kW)の時は、約10%
300%過積載(150kW)の時は、約30%

年間のピークカット率は、場所やパネルの傾斜角などによって多少変わってきますが、1日の最大ピークカット率より、かなり少なくなります。

この年間のピークカット率と、さきほど求めた蓄電池の容量から採算性を計算すると、次のようになります。

元々の年間売電収入を200万円、
蓄電池の値段を2万円/kWh、
ソーラーパネルと蓄電池の売電単価は同じ、
充放電ロスや経年劣化は考慮しない、
という条件で、ピークカット分を蓄電して売電すると、

150%過積載では、
1年間の売電収入が3%(6万円)増加。
104kWhの蓄電池が208万円。
蓄電池代を回収するのに35年かかる。

200%過積載では、
1年間の売電収入が10%(20万円)増加。
259kWhの蓄電池が518万円。
蓄電池代を回収するのに26年かかる。

300%過積載では、
1年間の売電収入が30%(60万円)増加。
594kWhの蓄電池が1188万円。
蓄電池代を回収するのに20年かかる。

蓄電池が2万円/kWhというのは現在の相場よりもかなり安い値段だと思いますが、それでも採算性は厳しいと言わざるを得ません。
ピークカット電力を蓄電するためには、蓄電池はそれなりの容量が必要ですが、年間の使用率はあまり高くないため、どうしても投資効率が悪くなってしまいます。

ピークカットの電力に加えて、出力制御で売電できない分も蓄電して売電するようにすれば、もう少し使用率が向上する可能性がありますが、それでも採算性を考えると、さらなるコスト低下が必要だと思います。
採算ラインは1万円/kWh位でしょうか?

政府の委員会では、蓄電池の放電電力を元の買取価格(FIT価格)より安くするような検討がされているようですが、そうなった場合は採算性がさらに悪化することになります。

住宅の自家消費用でも蓄電池が普及するにはもう少し時間がかかりそうですが、事業用太陽光の場合はもっと先かもしれません。