固定価格買取制度の「一定価格で一定期間買い取ることを国が約束」は当てにならない

再エネの固定価格買取制度は、
「再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度」
のはずですが・・

固定価格買取制度の仕組み
なっとく!再生可能エネルギー

国はこの約束を破るということでしょうか。
FIT制度における太陽光発電の未稼働案件への新たな対応を決定しました
買取価格が40~32円/kWhで認定された案件は、連系工事の着工申し込みの時期によって、買取価格が変わることになります。

未稼働案件調達価格変更
既認定案件による国民負担の抑制に向けた対応

しかも、この変更は法律の改正ではなく、大臣の独断で決定できる「省令」で行うようです。
FIT制度の大前提とも言える買取価格を省令で変更していいのか?
と思ったのですが、パブコメ でも意見が寄せられていたようです。

FITパブコメ8Q

これに対する政府の回答はこうです。

FITパブコメ8AFIT法 に以下の条文があります。

FIT法78条
 
「省令への委任」です。
先日国会で議論されていた入管法でも問題になっていましたが、法律の趣旨に反しなければ、細かい規制などは省令でいくらでも決めることができるようになっています。

FIT法で買取価格に関する規定は第3条に記載されています。

FIT法3条
 
今回の40~32円/kWh案件の価格見直しは、
4項の中の「適正な利潤」
6項の「賦課金の負担」
の部分の趣旨に照らして適切でないと判断されたと思われますが、今後もこのようなFIT法の趣旨に合わないと判断される事があれば、省令で規制や見直しが行われる可能性が十分考えられます。

逆に考えると、FIT法の趣旨を逸脱させるような、委任の範囲を超えた省令は出せないはずです。
例えば、省令によって「適正な利潤」を得られなくなる等。
勿論、国会で法律を改正すれば、何でも出来てしまいますが。

いずれにせよ、
「一定価格で一定期間買い取る」ための条件は、年々厳しくなる可能性があります。
今後も資源エネ庁の動向には注意した方がよさそうです。