車を売却した時の自動車税の扱い

自動車税は4月1日0時時点の車の所有者が、その年度1年分を納税することになっていますが、年度の途中で車を売却した場合は、状況によって自動車税の扱い方がいろいろあるようです。

基本的には、元の所有者は、売却月までの分を月割りで負担し、売却した翌月から年度末までの分は負担する必要がない(過払い分として返還される)はずですが、実際には余計に負担してしまったり、うやむやにされる場合もあるようなので、車を売却する時は買取業者にしっかり確認した方がよさそうです。

(注)
・これは普通自動車の場合です。軽自動車の軽自動車税については「月割り」の考え方がないので、この話は関係ありません。
・ローンで購入して「所有権留保」になっている場合等、車の「使用者」が納税義務者になる場合もあります。

<ケース1>自動車税の過払い分が買取価格に含まれている場合

例えば9月に車を売却した場合は、10月から3月までの6か月分の自動車税に相当する額が買取価格に含まれることになります。
元の所有者は売却時に自動車税の事は気にしなくてもよいので、このやり方にすることが多いようです。
この場合、買取業者は次のようにして買取時に払った自動車税相当額を回収します。

・車を一旦廃車(抹消登録)にする場合
車をスクラップや輸出する場合、車検切れ間近の場合や在庫期間が長そうな場合などは、抹消登録するようです。
その場合は、自動車税の納付先である都道府県から後日過払い分が還付されます。
ただし、抹消登録しただけでは還付先が納税義務者である旧所有者になるので、買取業者は「自動車税過誤納金還付請求権譲渡通知書」を旧所有者の印鑑証明書と一緒に都道府県の自動車税の管理部署に提出することで、還付先を買取業者に変更します。
車売却時に印鑑証明を2通求められるのは、このためです。(※※)

・車を廃車にせず新所有者に名義変更する場合
この場合は、新所有者から販売月以降の分の自動車税を受け取ります。
在庫中は買取業者の負担になるので、買取代金に含まれる自動車税相当額は実際より少なめになっている可能性があります。

(※※)補足
印鑑証明は買取業者が車の名義変更をする場合、最低1通は必要で、その他にも上記の還付先変更や自賠責保険の名義変更など複数必要になる場合があります。

<ケース2>自動車税の過払い分が買取価格とは別に返金される場合

この場合は、旧所有者が都道府県から還付を受ける場合と、買取業者から受け取る場合があります。

・都道府県から還付を受ける場合
買取業者が車を一旦廃車(抹消登録)にした場合は、後日、県から過払い分が還付されるので、旧所有者がそれを直接受け取ります。
県からの還付通知は、抹消登録後1~2か月程度で届くようです。

・買取業者から受け取る場合
この場合は、車を売却する時に買取代金と一緒に自動車税の過払い分相当額を受け取ります。
買取業者は、車を一旦廃車(抹消登録)にする場合は県からの還付、そうでない場合は新所有者から自動車税相当額を受け取ることで、回収します。

<ケース3>自動車税の過払い分が発生しない場合

車を売却するタイミングによっては、過払い分が発生しない場合があります。

・2~3月に売却する場合
年度の残りが1か月未満の場合は、自動車税の還付はありません。
2月に売却して年度の残りが1か月以上あっても、金額が小さいため、返金されない可能性があります。

・4~5月に売却する場合
自動車税の納付期限は5月末のため、納付前に売却すれば過払いは発生しないことになります。
ただし、4月1日0時時点で車を所有していれば、納税義務は発生します。
4月に売却しても、抹消登録されない限り、県に対しては1年分の納税義務を負っていることになるので要注意です。
このケースの場合によくあるのが、買取業者に納付書を渡して納付してもらう方法です。
買取業者から、「納付書が届いたら持ってきてください」と言われて、納付書と税金1か月分の金額(4月売却の場合)を買取業者に渡して代りに納付してもらいます。
本当に納付してくれるか心配な場合は、何か記録が残るようにしておいた方がいいかもしれません。
後でトラブルにならないように、売却時に自動車税の支払方法をしっかり確認しておく必要があると思います。

4~5月に売却して、車が抹消登録された場合は、抹消した翌月以降の納税義務はなくなります。
その場合は、4月末~5月に届く納付書で1年分納付して後日還付を受ける方法もありますが、1年分の納付書は無視して、7月頃送られてくる督促状を待って必要な分だけ納付することもできます。(そうすると還付の手間がなくなる)
5月に抹消登録されていれば、督促状には4、5月の2か月分の金額が記載されているはずです。
もし督促状に1年分の金額が記載されている場合は、買取業者にいつ抹消したか確認して、それを都道府県税事務所に伝えれば、抹消した月までの納付で済ませることができるようです※。
なお、督促状を無視すると、その後ほぼ毎月督促状が届くようになって、2回目以降は延滞金が加算される可能性があるので、1回目の督促状で終わらせる必要があると思われます※。
※実際の細かい運用については、各都道府県の自動車税の管理部署に確認が必要です。