太陽光パネルの廃棄量を大幅に減らすアイデア

2040年頃から太陽光パネルの大量廃棄が始まることを想定して、資源エネルギー庁で議論が行われているようですが、「廃棄ありき、廃棄費用の徴収ありき」で進められているところが気になります。

環境省の資料に、循環型社会は、

1番目:発生抑制(リデュース)
2番目:再使用(リユース)
3番目:再生利用(リサイクル)

ということが明記されています。
太陽光パネルに関しても、もっとリデュースやリユースの検討、議論が行われるべきだと思うのですが・・

循環型社会とは
第2回 太陽光発電設備の廃棄等費用の確保に関するワーキンググループ

住宅のリフォームで行われている方法を応用することで、太陽光パネルの廃棄量を大幅に抑制(リデュース)できるかもしれません。

住宅の屋根のリフォームでは、「カバー工法」という方法がよく使われています。

屋根カバー工法
アイジーリフォーム

要するに、既存の屋根材を撤去しないで、その上に新しい屋根材を取り付ける方法です。
こうすることで、既存の屋根材の撤去費用と処分費用を削減でき、工期も短縮できるというメリットがあります。

同様のことを太陽光パネルでやれば、古い太陽光パネルを廃棄せずにリニューアルできるのでは? というアイデアです。

古い太陽光パネルを撤去しないで、その上に新しい太陽光パネルを取り付けます。(カバーする)
新しい太陽光パネルは架台への負担を考えて、極力軽いものにします。

このような軽量でフレキシブルな太陽電池モジュールがよさそうです。

ベンタブルCIS太陽電池
ソーラーフロンティアのベンダブルCIS太陽電池モジュール

軽量、フレキシブルな太陽電池モジュールは、NEDOなどでも本格的に開発が進められています。

世界最大のフィルム型ペロブスカイト太陽電池
世界最大のフィルム型ペロブスカイト太陽電池、東芝とNEDOが開発

このようなフレキシブルモジュールを、何らかの方法(接着剤、ねじ止め等)で既存の太陽光パネルの表面に取り付けて、配線をつなぎ替えれば、廃棄パネルを出さずに、太陽光パネルを更新することができそうです。
(架台や基礎がしっかりしていることが条件にはなりますが)

長期的に考えると、このカバー工法で太陽光パネルをリニューアルすることで、本来30年程度で廃棄されるものが、60年程度に延長されることになります。(フレキシブルモジュールの寿命が30年の場合)
既存の太陽光パネルの重量に対して、フレキシブルモジュールの重量が非常に軽量であれば、60年間で廃棄されるパネルの量は、重量ベースでは半分近くになります。

具体的なフレキシブルモジュールの取り付け方や配線方法などは今後の開発が期待されますが、太陽光パネルを丸ごと交換するより、トータルの更新コストが安くなる可能性もあると思います。
発電事業者にとってもメリットがありそうです。

このカバー工法、なかなかいいアイデアだと思うのですが、どうでしょう?