インボイス対応は慎重に
政府はアノ手コノ手で小規模事業者にインボイス対応させようとしていますが、インボイス(適格請求書)発行事業者になるかどうかは、よく考えて決めた方がよさそうです。
朝日新聞(2022/11/21)インボイス、課税業者に転換で税負担軽減へ 3年間は売上税額の2割
来年10月に導入される消費税のインボイス制度について、政府・与党はフリーランスなど小規模事業者の負担を抑える新しい期限付き特例をつくる方針を固めた。
消費税の納付義務が免除されている「免税事業者」がインボイスを発行するために「課税事業者」に転換した場合、3年間は売上税額の2割を納めれば済む方向で検討する。
売上税額の2割(=売上の1.6~2%)だけ納税すればいいということですが、この物価上昇のご時世に利益が減ることには変わりません。
それに、この制度は3年間限定です。
また、消費税の申告という作業を毎年やらなければならなくなります。
マスコミではあまり取り上げられないようですが、このインボイス制度には特例がいろいろあります。
その中でも象徴的なのが農協特例だと思います。
農家が農産物の販売を農協に委託した場合は、インボイスを発行する必要はありません。
さすが農協という感じです。
国税庁のパンフレット
適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き
に、帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用が受けられる場合(要するにインボイスが不要な場合)がまとめて書かれています。
この中で特に気になる項目が3~6です。
3 古物営業を営む者の古物の購入
4 質屋を営む者の質物の取得
5 宅地建物取引業を営む者の建物の購入
6 再生資源及び再生部品の購入
3は「古物商特例」、4は「質屋特例」と言うそうです。
これらの特例には全て同じ条件があります。
適格請求書発行事業者でない者からの購入・取得であること
購入者の棚卸資産であること(つまり販売用であること)
相手方が適格請求書発行事業者である場合は、適格請求書の交付を受け、それを保存する必要があります。
適格請求書(インボイス)発行事業者が不要になった物を買い取り業者に売る場合は、買い取り業者からインボイスを求められる可能性があります。
そして、消費税の申告と納税をしなければなりません。
例えば、中古車の売却です。
日本中古車自動車販売協会連合会消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)での中古車の取扱いについて
2023年(令和5年)10月から導入される適格請求書等保存方式(インボイス制度)では、仕入税額控除をする際には課税事業者であり適格請求書発行事業者から交付される適格請求書(インボイス)が必要となります。
しかし、インボイスがなくても「古物営業を営む者が適格請求書発行事業者以外から買受ける一定のものは帳簿の保存により仕入税額控除が認められる」こととなりました。いわゆる中古車販売業者が中古自動車をインボイスが発行できない免税事業者や一般消費者等から買受けた場合について、帳簿の保存をすることで今まで通り仕入税額控除が可能となります。
免税事業者が所有している車を売る場合は、インボイスなしで消費税込みの値段で買い取ってもらえます。消費税の申告も納税も不要です。
一方、インボイス発行事業者(=課税事業者)の場合は、買い取り価格が同じでも、消費税の申告と納税が必要になります。
不要になったOA機器や作業機械などを売る場合も、所有している不動産を業者に買い取ってもらう場合も、同様でしょう。
インボイスを発行したのに消費税を納税しないでおくと、税務署から連絡が来る可能性があります。
いずれにせよ、現在免税事業者でインボイス対応をどうするか検討中の場合は、後で後悔しないように、よく考えて決めた方がよさそうです。
ちなみに、北新地のホステスもインボイスの勉強をしているそうです。
インボイス制度って何?大阪 北新地のホステスたちは…
高級クラブのホステスが勉強会
西日本を代表する高級歓楽街・大阪北新地。
14日、ホステスたちの勉強会が開かれました。
先生は大阪国税局の職員。
来年10月から始まるインボイス制度について学びます。
水商売関係だと、いろいろなやり取りもありそうですが、大丈夫でしょうか・・
少し気になります・・