再エネ出力制御は「制御ではない。ムダである」

日本政府は本気で対策する気があるのでしょうか・・

日経XTECH(2023/12/13)
再エネ「出力制御」は世界の悩み? 先進地域にみる対策とその成果

 

 
太陽光発電の業界団体であるソーラーパワー・ヨーロッパ(SolarPower Europe)は2023年8月、全会員が共同で著したとする公開書簡をEUに提出、出力制御と電力取引市場におけるマイナス価格の影響を緩和するための解決策を提案している。
同書簡では欧州における太陽光発電の導入が大幅に増加している点を評価しつつも、出力制御が「制御ではない。ムダである」 とするインパクトのある見出しを掲げ、太陽光発電への影響に懸念を示した。
特に、温室効果ガスの排出量が大きい石炭火力発電がポーランドとチェコで夏季に継続的に稼働する一方、出力制御によりクリーンで低コストの太陽光による電力が無為に捨てられていると指摘している。

スペインでは、2030年までに76GWの太陽光発電を導入する計画を掲げているが年間の出力制御率も5%を超える懸念があるため、政府のエネルギー・気候変動計画において蓄電池18GWと水素製造用の水電解設備10GWの導入を目標としている。

太陽光と風力いずれの導入量でも現在世界トップの中国でも、再エネの出力制御は大きな課題となっていた。例えば、中国で2015年に出力を抑制された太陽光と風力の発電電力量は約40TWhに上り、シンガポール全体の電力消費量に匹敵するとも言われる。
このため2010年以降、中国は系統網の増強を積極的に推進しており、年間750億ドル以上の巨額の投資を再エネ拡大のためのインフラ整備に振り向けてきた。
これらの投資を活用して中国は風力など再エネ資源が豊富で多くの再エネ発電所が立地する同国北部や北東部の省と、南部や東部の主要な需要地の間を結ぶ送電インフラの設備容量を増強した。
その結果、中国における再エネに対する出力制御率は2012年の16%から2022年の2.7%にまで大幅に減少している。

再エネの導入が急ピッチで進む南米のチリでも、出力制御率が年間で10%を超える地域があり、発電事業者を悩ませてきたという。再エネ電源の多くが国土の北部に立地する一方、電力の消費地が中央部にあるといった地理的な制約もあるからだ。
特に外資系の再エネ事業者の中には、出力制御率の上昇によって損失が拡大したため、同国の再エネ発電事業からの撤退を検討する企業もあったようだ。
このため、気候変動対策が計画通りに推進できなくなることを危惧したチリ政府は、まず2017年に北部と中央部の電力システムを統合することで、最大で14%もあった出力制御率を2%まで減らすことに成功した。
ところが、その後も再エネの導入が拡大したため、再び出力制御が慢性的に発生することとなる。そこでチリのエネルギー省は2022年11月、再エネのさらなる導入を円滑に進めるために「再生可能エネルギー・ストレージおよび電動モビリティ法(Renewable Energy Storage and Electro-mobility Law)」を制定した。
同法によってチリでは定置型蓄電池や電気自動車(EV)を系統に接続し、再エネ発電電力量のピークや電力需要の増加にあわせた充放電によって収益を得ることが可能となり、出力制御も大幅に低減される見通しという。

 
日本の経産省もいろいろ対策を検討しているようですが、基本的に電力会社まかせで、スピード感も感じられません。

メガソーラービジネス(2023/10/19)
経産省が出力制御で対策パッケージ、「上げDR」積み増しに本腰

ポイント付与や料金割引などによる出力制御・時間帯への「上げDR」は、火力発電を多く持つ旧一般電気事業者にとって、経営的には売電収入の減少につながる可能性がある。そのため、これまで必ずしも積極的に導入されなかった面もある。

日本の再エネ出力制御は予測を大幅に上振れしている状況です。


再生可能エネルギーの出力制御の抑制に向けた取組等について

出力制御とは無縁だと思われていた東京電力も、「出力制御、やるぞやるぞ」と言い出しました。


 



再生可能エネルギー出力制御見通しの算定結果等について[東京電力パワーグリッド]

柏崎刈羽原発の1~7号機の定格出力を合計すると821万kWです。
柏崎刈羽原発が動き出すと、東電管内も再エネ出力制御が実施されることになりそうです・・