北海道大停電・・・原発にこだわらず、早めに手を打つべきだったのかもしれない

日本経済新聞 2018年9月8日
電力網は災害時に弱点 北海道停電、広域融通も不発

北海道で震度7を観測した地震では北海道の電力がほぼすべて止まる「ブラックアウト」が発生した。東日本大震災後に電力を広域融通する仕組みをつくってきたはずなのに、なぜ域内全域で長時間の停電が起きる事態になったのか。欧州ではもっと広域かつ風力など多様な電源を融通しており、一つの火力発電所に電力を大きく依存していた北海道電力だけの問題とは言い切れない。
地震発生時、北海道電力の苫東厚真発電所(厚真町)は域内の約半分の電力需要をまかなっていた。これが大規模停電が起きた原因とされる。
依存度が高まったきっかけは、東日本大震災後の2012年に泊原子力発電所を停止したことだ。北海道や国は依存度の高さに危機感を覚え、18年度内にガス火力発電所を新設する計画を進めていた。「対策が間に合わなかったのは大変残念だ」。7日、世耕弘成経済産業相はこう語った。
1カ所の火力発電所への電力依存度が大きい電力会社はほかにもある。例えば東北電力は東新潟火力、北陸電力は富山新港火力がそれぞれピークの電力需要の3割程度をまかなっている。こうしたところでは北海道電のようなリスクを抱えている可能性もある。
(途中略)
北海道と本州とつなぐ送電線には容量を60万キロワットから90万キロワットに増やす計画があったが、これも間に合わなかった。経産省幹部は「原発にこだわらず、早めに手を打つべきだったのかもしれない」と漏らす。北海道電に限らず、電力各社は原発再稼働を目指すあまりに、火力など既存の電力設備への投資が後手に回っている可能性もある。
北海道の再生可能エネルギーで現時点で電力系統に接続されているのは、電力供給が復旧した地域での家庭用の太陽光発電だけ。事業用の太陽光や風力発電は系統に接続されていない。

電力を融通する仕組み資源エネ庁2017作成
 

経産省幹部も、原発へのこだわりが今回の大停電を招いた要因の1つと認識しているようです。
今回の停電を契機に、日本政府も少しは考えが変わるでしょうか?

また、事業用の再エネはまだ復帰していないようです。
停電の復旧を最優先しているために、需給調整が難しくなる再エネは後回しということかもしれませんが、計画停電が検討されるほど電力が不足している状況にもかかわらず、再エネ発電所を活用できないのは非常に残念です。

原発をさっぱりあきらめて、大規模蓄電池に投資することはできないものでしょうか?